「火葬場への行きと帰り道を変える」という風習について


 ご葬儀が終わると、親族は霊柩車を先頭に自家用車かバスやタクシーが後ろに続いて火葬場へと向かいます。

収骨後は大体、そのまま自宅に戻るかお寺へ参るようになります。この時の、火葬場へ行く道と火葬場から帰る道は、同じ道ではなく違う道を通って帰る方がいいと昔から言われています。

 なぜそういった風習があるのかというと、一つは故人が霊になっても自覚がまだない為、道に迷い浄土に行けないという考えがあります。帰り道を変えると故人に道をわからなくさせて、本来逝くべき場所に向かわせる様にします。

 もう一つは、古来より死は穢れとして扱われていたので、親族に穢れが付いてこない為に道を変えるという考えもあります。故人に対して酷な事をしている気持にもなりますが、こういった風習は考え方によって様々な説があります。

 現在はあまり気にされない方が多いですが、こういった風習は少しでも親族の悲しみを和らげる為にあると考えられる方もいますので、どれが正しいというものではありません。

 人それぞれのお別れに対する向き合い方をされるのが良いかと考えます。